「うん。中学に入って女と付き合ったりするようになったら女の扱い方わかるようになって、そしたら面白いくらいモテるようになった」

気まずさをごまかすように、冗談めかして笑う。

「それからはもう完全に浮かれてやりたい放題だったね。近づいてくる女は手当り次第に手え出したし、付き合った女もいれば……なんつーか、そうじゃない女もいて」

悠聖が言いたいのはきっと、体だけの関係の人もいたってことだと思う。さすがにそこまではっきりとは言いにくいのか、またごまかすように小さく笑う。

こんな話を聞いているのに、あたしは不思議と平常心だった。

ただただ悠聖の話に耳を傾けていた。

「俺みたいなのに群がってくる女も女で、まあ人のこと言えねえけど、ロクなのいねーのな。向こうも向こうで遊び人だし、軽い気持ちでずっと過ごしてた」

今まで悠聖の女友達に会ったことは何度かある。学校祭に遊びに行った時も、もしかしてこの中に元カノとかいるのかな、なんて考えたこともある。

今思えば、中にはそういう人もいたのかもしれない。それでも嫌な気持ちにならなかったのは、きっと〝特別な人〟はいないんだろうとあたしなりに感じ取っていたんだろうか。

「でもなんていうか……チィは違ったんだよな」

悠聖の話を聞いてもあまり驚かなかった。初めて会った時になんとなく苦手だと思ったのは、たぶんそういう人なんだろうなと直感的に思ったから。

むしろ遊んでいるうちにどんどん優しくなっていったことや、付き合ってからすごく大切にしてくれていることのほうがよっぽど驚いたくらいだ。

「なにが違ったの?」

「あー……なんつーか、チィはグレてない」