それでも嫌な顔ひとつせず、変わらずにずっと優しくしてくれて、見守ってくれていた。
「……友哉、ごめん」
「いいよ謝んなくて。絶対隠し通すって、そばで見守るって決めたのは俺なんだから」
友哉は本当に優しいね。
いつだってあたしが自分を責めずに済む言葉をくれる。
「……ありがとう」
ごめんなさい。
ありがとう。
あたしは結局、そんな陳腐な言葉しか言えなかった。
友哉に言わなきゃいけないこと、たくさんあるはずなのに。
伝えきれないくらい、あるはずなのに。
「……ほんとはさ。またチナと付き合いたいって思ってた時期もあったんだけど……悠聖くん見た時、あーもう無理だなって思ったんだ」
「悠聖？ なんで？」
「かっこよすぎるだろ。外見もそうだけど、なんかオーラあってさ。優しくて堂々としてて……これは絶対チナ取られるなって思った」
「……そうだったんだ」
「ちなみに悠聖くん、俺がチナに惚れてんのもたぶん気づいてるよ」
今日は心臓が忙しい日だ。
さっきよりも驚いて、咄嗟に友哉を見る。
「え？ 悠聖が？ なんで？」
「なんとなくそんな気がする。でも前に、俺のことは気にしてないし、気に入ってるとまで言ってくれてたんだろ？」
「……うん」
悠聖の元カノを見てヤキモチを妬いてしまった日、自分のことを棚に上げて怒ってしまったあたしに、悠聖はそう言ってくれた。
「俺なら絶対無理。自分の彼女が元彼と今でも仲いいなんて絶対嫌だし、責めまくって、縁切れとか言っちゃうね。なのにそこまで言ってくれるなんて、悠聖くんかっこよすぎだろ」
前を向いて、小さく笑う。
