この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。




本当は期待していた。悠聖から連絡をくれるんじゃないかって。

だけど、その日も次の日も、悠聖から連絡がくることはなかった。あたしから連絡をする勇気なんかなかった。

初めて見た悠聖の怒った顔。初めて聞いた低い声。悠聖に言われた言葉。

考えれば考えるほど、嫌われたんじゃないかと怖くなっていく。

わかってる。どう考えてもあたしが悪い。優しい悠聖に甘えきって、ワガママをぶつけたあたしが悪い。

謝らなきゃいけないのに。いつまで経っても弱虫なあたしはなにもできなかった。

あたし、最低だ。

夏祭り当日、あたしは乃愛の家にいた。謝ることもできずにうじうじ悩むあたしを、乃愛が夏祭りに誘ってくれたのだ。

行かない、行けないと駄々をこねるあたしを乃愛は朝から迎えに来て、強引に自分の家へ連れていった。

「悩んでたってしょうがないじゃん。せっかく浴衣買ったんだし、一緒に行こうよ。それで少し落ち着いたら、悠聖くんに謝ろうよ」

あたしは本当に意気地なしだ。素直にならなきゃ後悔すること、わかっているはずなのに。

乃愛に慰められながら、買ったばかりの浴衣に袖を通す。悠聖と夏祭りに行きたくて、悠聖に見てほしくて、可愛いって言ってほしくて買った浴衣。

付き合った日に「チィは桜っぽいイメージ」って言ってくれたから、紺地にピンク色の桜が散りばめられたデザインの浴衣。

乃愛に着せてもらって、乃愛ママに帯を結んでもらって、髪もセットしてもらう。

完成した姿を鏡で見てまた落ち込んだ。本当なら、この浴衣を着る時は笑っているはずだったのに。

乃愛がせっかく気を使ってくれているのに、こんなことばかり考えてしまう自分も嫌だ。