夏休み最後のイベントは、地元で開催される大きな夏祭り。
夏休み中は悠聖とたくさん遊んだ。映画館に行ったり、みんなで海に行ったりもした。
もちろん全部楽しかったけれど、好きな人にはやっぱり、いつもと少し違う姿も見てほしい。やっぱり「可愛い」って言ってほしい。
悠聖はきっと、優しく笑って「可愛い」って言ってくれると思うから。
「……なんで?」
そう思いながら夏祭りに誘ったあたしへの悠聖の返事は、
「いや……ごめん。祭りじゃなくても、他んとこ連れてってやるから」
夏祭りは行けない、だった。
「だから、なんで?」
「ごめん、バイト。その日はどうしても出なきゃなんなくて」
「今までそんなこと一度もなかったじゃんっ」
夏休みに入ってから頻繁に遊びに来ていたから、挨拶程度だけどご両親にも会わせてくれた。妹の望悠ちゃんにも会って、すぐに仲良くなれた。
悠聖は相変わらず優しくて、いつも笑ってくれていた。あたしたちはきっと、誰の目から見ても順調に付き合っていた。
だから余計にわがままになっていたのだと思う。
当然連れていってくれると思っていた夏祭り。悠聖に断られたことがショックで、じゃあ残念だけど諦めるねって、あたしは言えなかった。
「お祭りだよ? もう夏休みも終わっちゃうし、最後のイベントくらい行きたいよ」
「散々遊んだだろ? 悪いけど、祭りは諦めて」
いつもなら「いいよ」って笑ってくれるのに。今日の悠聖は一歩も譲らずに、次第に目もそらしていった。
こんなのあたしのわがままでしかない。きっと頭の片隅ではわかっていた。
「……他の元カノとも……ユカさんとも行ったんでしょ?」
まったく関係のない話。わかっているのに、あたしの口から出てきたのは、そんな嫌味でしかないこと。
「……それ、今関係あんの?」


