あれはそういうことだったのか。
「誰か通るかもしれないじゃん」
「ここ廊下の一番奥。階段は七組の前」
「そうなの?」
「八組以降は改装した時に校舎付け足したんだよ」
冷静な説明に、そっか、と納得する。
「で、いい?」
本当はちょっと……したいんだけど。
悠聖といると、とにかく近づきたくなる。
手を繋ぎたい、抱きつきたい、キスしたい。
欲求はどんどん溢れてくる。
「早くしないとほんとに誰か来るぞ」
それに正直、学校でキスするとか……漫画オタクのあたし的には憧れのシチュエーションでもあるんだけど。
おさえていた手の力を緩めると、悠聖は右手もあたしの肩にまわして、ちゅって短いキスをした。
キスをすると、恥ずかしいとか、そんなの全部吹き飛んでしまう。
もっとしてほしい、と思ってしまう。
悠聖はやっぱりそんなあたしもお見通しで、
「もっかいしていい?」
あたしの返事を待たずに、小さく微笑んで、今度はしっかりと唇を重ねた。
「……死ねよお前ら」
確認しなくたって声の主はわかる。
慌てて離れると、ドアの前には春斗の姿があった。後ろからいろんな人たちがニヤニヤしながら覗き込んでいる。
最悪。お兄ちゃんにキスシーンを見られるなんて、もう恥ずかしいを通り越して消えちゃいたいくらいだ。
「死ね。マジで死ね。妹と友達のキスシーン見せられた俺の気にもなってみろ」
春斗以外の人たちはわいわいと騒いで、次から次へと冷やかしの言葉が飛んでくる。悠聖はそれにも笑って答える。
すると、後ろの方にいた女の人が突然手を上げた。
「せんせー! 本田くんが教室でエッチなことしてます!」
え? 先生?


