この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



ふてくされたまま見上げると、悠聖は少し驚いた顔をした。

「名前? なんで?」

「かっこいいじゃん。〝悠聖〟って名前、悠聖っぽい」

「はは。ややこしいな」

少し嬉しそうに笑って、肩にまわした手であたしの頭を撫でた。

それだけでモヤモヤなんかどこかへ行ってしまう。

「そういえば、あの人たちなんであたしの名前知ってたの?」

「俺が言ったからだよ」

「え? 学校であたしの話してくれてたの?」

「してたよ。めっちゃ可愛いよって自慢してた」

あたしのいないところでもそんなこと言ってくれてたんだ。

〝めっちゃ可愛い〟はかなりのプレッシャーだけど、素直に嬉しい。

「チィちゃんは、俺の自慢の彼女だから」

目が合う度に――好きだなあって思う。

気持ちがどんどん溢れてくる。

「……悠ちゃん」

「結局呼ぶのかよ」

「だって……〝悠ちゃん〟の方が仲良さそうじゃん」

こんなしょうもない対抗、我ながら子供だなあと思う。

でも嫌なものは嫌だ。

悠聖に一番近い存在はあたしであってほしい。

あたしに一番近い存在は悠聖であってほしい。

やっぱりあたしは、自分で思っていたよりもずっと嫉妬深くて独占欲が強いのかもしれない。

「ほんとにお前は……可愛いなあ」

窓から差し込む太陽の光は、窓のすぐ下にいるあたしたちよりも先に延びていて、あたちたちを照らさない。

逆光で少し暗い悠聖の顔が、ゆっくりと近づいてくる。

「……お前、雰囲気考えろよ」

あたしの手は、悠聖の胸の辺りをおさえていた。

「悠聖こそ場所考えてよ。ここ学校」

「誰もいねーじゃん。それに『窓から見られないように床座った』っつったろ」