この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



そのおかげであたしも目をつけられることはなく、さらに三年生だった〝春斗の妹〟だから、ふたりのおかげで平穏な中学校生活を送れたと言っても過言ではない。

「男の子も可愛いー!」

「ね、お姉さんたちと遊ぼうよ!」

「じゃあ俺とチィ別行動していい?」

「へ?」

悠聖を見上げると、「嫌だ?」と微笑んだ。

嫌なわけがない。本当はふたりが良かったんだもん。

「別にいいけど、学校で変なことすんなよ」

「見つけたらそっこー全校放送でバラすからな」

冷やかしにも悠聖は涼しい顔で「それはわかんねーな」と返して、言われた張本人よりも嫌がっていたのは春斗だった。

心底嫌そうな顔をして「もう勝手にしてくれ」と盛大なため息をついた。

みんなと別れて手を繋いだまま廊下を歩く。

教室にたどり着くまでの間も、いろんな人に次々と声をかけられた。

「悠聖も春斗も人気者なの?」

「人気者ってなんだよ。俺らは小学生か」

「だってみんなに声かけられるじゃん」

「バカばっかりだと自然とそうなるんだよ」

その説明じゃよくわからないけど。

そうなんだ、と返したところで、『2年10組』の教室の前に着いた。

開いていたドアから中を覗くと、生徒が何人か座っている。

「おー、悠聖」

「あれ? 彼女?」

高校に来てから、まだたったの三十分。すでに数え切れないほどされたその質問にも、悠聖はあしらうことなく毎回「可愛いだろ」と笑って答える。

そしてあたしは、いちいちにやけてしまう。

「ちょっと教室貸して。お前らどっか行けよ」

「いいけど、変なことすんなよ」

みんな同じことを言う。