「やべえ、悠ちゃんの彼女だー! 初めて見た!」
金髪ポニーテールの女の人が立ち上がってあたしの前に立つ。
ていうか〝悠ちゃん〟って。
「つーか超可愛いんだけど!」
「中学生?」
他の女の人たちも金髪ポニテさんに続いて立ち上がり、ぞろぞろと歩いて来てあたしたちを囲む。
「えと、はい、中三です……」
……ちょっと怖いんですけど。
パンツが見えそうなくらい短いスカートに、制服なのになぜか裸足にビーチサンダル。
四人とも綺麗。しかも細いしスタイルいい。
……悠聖、毎日こんな綺麗な人たちに囲まれてるんだ。
「お前らうるせーよ。散れっ」
春斗が「シッシッ」と手を振って追い返そうとするも無視。
顔をまじまじと見られてたじたじしてしまう。
こういう時いつも思う。乃愛みたいな社交性がほしい。
「マジ可愛いね。〝チナちゃん〟でしょ? こんな可愛いのになんで見せてくんなかったの?」
金髪ポニテさんが言った。
え? どうして名前知ってるの?
「お前らがうるせーからだよ」
「悠ちゃん、どこでつかまえたの? こんな可愛い子」
……だから〝悠ちゃん〟って。
みんなと仲良さそうだし、悠聖やっぱりモテるのかな……。
「春斗の妹だよ」
「は? まじ?」
「そーいえば似てる!」
「可愛いだろ」
悠聖は手を繋いだまま、あたしを見てにっこりと笑った。
くそ、許す。
「え! つーかこっちの子も超可愛いんだけど!」
「うわー、美少女」
「名前なんてゆーの?」
「乃愛です」
「ちょ、名前まで可愛いな!」
乃愛の美貌は男の人だけではなく女の人までも虜にする。中学に入った時も、怖い先輩にも可愛い可愛いと大人気だった。