ついさっき春斗の妹だと聞いてうなだれていた彼らは、次は悠聖の彼女だと聞かされて目を点にした。
「マジかよぉぉ……」
「この子は春斗の女ってオチじゃねーよな⁉」
「んなわけねーだろバァカ」
「よし! じゃあLINE教えて!」
そんなに女の子に飢えているのか……いや、乃愛ほど可愛い子が目の前に現れたら、なにがなんでも繋がりを持ちたいと思う気持ちはわからなくもない。
「いいですよ」とにっこり笑った乃愛は、求められるがままにその場にいる男の人全員と連絡先を交換した。
彼氏がほしいと言いながら告白されても好みの人がいないらしく断り続けている乃愛は、この学校祭に賭けていた。
恐るべし乃愛。あとあと修羅場になりませんように。
「友哉は? 来ねーの?」
「寝坊したって言うから置いてきた。もうすぐ来るんじゃないかな」
「そっか。じゃあここで待ってるか」
右手がふさがる。
みんなの前だというのに自然と繋いでくれたことが嬉しくて、あたしの頬はとうとう堪えきれなくなってしまった。
恨めしそうに悠聖を見る彼らや呆れる春斗の視線もお構いなしに、あたしも「うん」と満面の笑みを返した。
付き合いたての頃は、春斗に悠聖と話しているところを見られるだけでも恥ずかしかったのに、悠聖のことを好きになればなるほど、幸せを感じれば感じるほど、そんなことも気にならなくなってしまった。
やっと来た友哉も合流して、みんなで校内をまわる。
「あれー?」
「ああー! 本田が女連れてる!」
高校というのはずいぶん騒がしい場所みたいだ。
悠聖の教室に向かって歩いていると、今度は階段でたむろしている四人の女の人たちが悠聖を指さした。