七月中旬。夏休みの少し前、悠聖の高校で開催される学校祭。

あたしと乃愛と友哉は平日だというのに遊びに行くことになっていた。

もちろん学校はサボり。仮病を使ったことすらないのに、サボって遊びに行くなんて初めてだ。

乃愛はとにかく楽しみらしく平然としているけど、きっと乃愛以上に楽しみのはずなのに小心者のあたしは、バレたらどうしようと気が気じゃない。

あとから来る予定のしょっちゅう学校をサボっている友哉いわく、「一日サボったくらいでどうってことねーよ」らしいけど。

地元の最寄り駅から電車で十五分。駅を出てスマホのナビを頼りに見慣れない土地を歩いていくと、ひときわ大きな建物が見えてくる。

正面にある大きな正門をくぐると、その先にはアスファルトの道がいくつかに分かれていて、道のまわりには緑が広がっている。

真ん中の道の先にはさっき見えた、大きくて綺麗な校舎。そういえば数年前に拡大のため大改装したばかりだと春斗が言っていた。

初めて来る〝高校〟は想像以上に壮大だった。高校がすごいというか、さすが私立校だ。

「やっべえ! 超可愛い子みっけ!」

正門を越えてすぐに、たむろしていた五・六人の男の人たちがあたしたちを指さして大きな声をあげた。ぎょっとして構えると、あっという間に囲まれる。

悠聖たちと同じ制服をかなり着崩し、茶色や金や眩しい髪色をした、見るからに騒がしそうな……つまり、あたしがすんごく苦手なタイプの人たちだ。

「ふたりともマジ可愛い! 高校どこ⁉」

「うちじゃないよね?」

「遊びに来たの?」

「誰か知り合いいんの?」

「案内するよ! てかさせて!」

「むしろ連絡先教えて!」