でも。冗談だとしても、本気だとしても。
「……うん。いない」
悠聖よりいい男なんて絶対いない。この先どんな人と出会っても、あたしはきっと、悠聖以外好きにならない。
悠聖以外の人に恋をする自分なんて、もうまったく想像がつかない。
あたしはずっと悠聖に恋をしていると思う。
誰よりも最高の彼氏で、あたしの運命の人。
「ねえ、悠聖」
「ん?」
「あたしね。もう一回函館……っていうか、旅行とか行くなら、悠聖とがいいなあ……」
修学旅行の時に何度も思ったこと。
大親友の乃愛がいて、友哉がいて。ここに大好きな悠聖もいたら、もっと楽しいだろうなって。
悠聖と同じ歳だったら、毎日学校で会えたら、修学旅行だけじゃなく学校祭や体育祭も一緒に過ごせたら、どんなに楽しくて幸せだろう。
今頃は、もうすぐ受験だねって、同じ高校行きたいねって、そんな話をしていたかもしれない。
「可愛い。一緒に行こうな」
「ほんと?」
「ああ、いいよ」
「ほんとにほんと?」
「お前のお願いくらい全部叶えてやるよ」
二重の大きな目が好き。綺麗に整った眉が好き。筋の通った高い鼻が好き。柔らかそうなブラウンの髪が好き。片方だけ出ている耳が好き。
あたしの頭を撫でる大きな手が、キスの時にあたしの頬に触れる大きな手が、
悠聖の全部が、大好きで大好きで、たまらない。