この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。




ついにやってきた、日本三大夜景として有名な函館山の夜景。

修学旅行の前に、初めては悠聖と見たかったと言ったら、今度連れていってやると言ってくれた。

「すっっっごい! ね、チナ‼」

「テレビで見るよりずっと綺麗ー‼」

ずっと楽しみにしていたメインイベントに思いっきりはしゃぐ。感動したぶん、やっぱり悠聖と――大好きな人と見たいという気持ちが強くなった。

それはみんなも同じなのか、気づけばまわりはカップルだらけだ。

この壮大な景色がそうさせるのか、一応授業の一環だというのに、みんな寄り添ったり手を繋いだりしている。

その中には、手を繋いで夜景を堪能している椎名と早百合ちゃんの姿もあった。

まだ付き合ってたんだ、と思った。

早百合ちゃんは最近教室に来ないから前ほど見かけることもなくなっているし、椎名とは別れてから一度もまともに話していないから、近況を聞くことなんてあるわけがない。

手を繋いでいる姿を見ても、幸せそうに笑い合っている姿を見ても、前みたいに苦しくなることはなかった。辛くないし、ショックも受けない。

もしも悠聖と出会っていなかったら、あたしは新学期もこの修学旅行ももはや拷問でしかなかったと思う。

きっと、ずっと椎名の姿を目で追って、あたしのほうなんか見向きもしない椎名に傷ついて、今のふたりを見てもっと傷ついて、もしかしたら今頃は耐えきれずに泣いていたかもしれない。

大好きだった。初恋だった。

早百合ちゃんと楽しそうに笑っている椎名の後ろ姿に、心の中で「バイバイ」とつぶやいた。