なんで自覚できなかったのかといえば、ひとつだけ心当たりがある。

隣で「ほんと鈍感だよね」と呆れている乃愛が、あたしなんか比にならないくらい超絶モテモテだからだ。

「てゆーか、男子でチナのこと可愛いって言ってる子多いよ? 小学校の時から、チナ男子に人気あるじゃん」

乃愛は当然のように言ったけど、そんなの初耳だ。

あたしが学校で話す男の子なんてかなり限られてる。ずっと仲がいいのは友哉くらいだし、あと友哉の仲間の男の子が数人、会った時に話しかけられたら話す程度。

友哉くらい明るく積極的に話しかけてくれない限り、男の子とは仲良くなれない。

だからあたしが男の子に人気があるなんて、そんなのありえない気がする。

「ええー……だってあたし、あんまり男の子に話しかけられたりしないよ」

「だってチナ、昔から男子苦手じゃん。オーラ出てるんだよ」

あたしの向かいの布団にいる女の子が続く。

「悪い意味じゃないけど、乃愛とチナって、たぶん男子からすると話しかけにくい雰囲気なんだと思うよ」

「え? なんで?」

乃愛ならわかる。話してみれば人見知り知らずの明るくて社交的で話しやすい子だけど、それ以前に可愛すぎて簡単に話しかけられないのだと思う。

「乃愛とチナって、ずっとふたりでいるじゃん。群れたり騒いだりしないし」

「うん。んで、チナはね、雰囲気が女の子らしい」

「あーわかる。ザ・女の子! って感じ」

「ね。顔も可愛いし、背ちっちゃくて白くて細くてさ。なんか守ってあげたくなるタイプ?」

「そっと見守っててあげたい感じだよね」