「何気にもうちょい我慢しようかと思ってたんだけど、ちょっと無理だったわ。紳士にはなれないみたい」
おでこをくっつける。薄暗いし近すぎるし、悠聖の表情がよく見えない。
返事の代わりに、自分から短いキスをした。
悠聖はあたしの手を引いて立ち上がった。すぐ横にあるベッドに移動して、もう一度キスをした。
好きな人に触れられるって、こんな感覚だったんだ。
やっぱり、思った通りだった。乃愛の気持ちが今ならよくわかる。
――もっと好きになった。
好きで好きでしょうがなくて、溢れる想いが止まらない。
きっと、これからもっともっと好きになる。なんの根拠もなく、そんな確信が芽生えていた。
何度も何度も「好き」って言った。その度に悠聖は、優しく笑って、俺も、と囁いた。
心も体も、今までにないくらい、全部が満たされていた。