かといって、どう切り出せばいいんだろう。
急に「別れよう」って言うの?
なんの前触れもなしに?
「なんで?」って言われたら?
「好きだと思ってたけど違った」って言うの?
ついこの間まで、何度もキスしていたのに?
さすがに無理だ。最低だと思う。
いったいどう言えばいいんだろう。言い出すタイミングをつかめなくて、あたしは友哉を避けるようになってしまった。
友哉が話しかけてきてもうまく返事ができず、出会った日以上にそっけない態度になってしまう。メッセージがきてもなんて返せばいいのかわからず、徐々に返信することさえできなくなっていく。
最初は「なんかあった?」「俺なんかした?」と言っていた友哉も、だんだんと話しかけてくる頻度は減り、あたしの教室にも来なくなった。たまにくるメッセージの最後には「返事はいいから」と入るようになり、そのうちそれもなくなった。
このまま自然消滅するんだろうか。悩みながら、それでもいいと思った。
だって、自分から振るのは悪いことでしょう?
相手が可哀想だし、みんなに「あんなに仲よかったのに振るなんて最低」って言われるのが嫌だ。弱虫で子供なあたしは、そんなことばかり考えていた。
そしてついにあたしと友哉が別れたという噂が流れ始めた。
友哉が教室に来なくなったのだから、噂になるのは当たり前だ。友哉は目立つしあたしたちはとても仲が良かったから、噂はあっという間に広がった。
友哉はどう思ってるんだろう。どうしよう、どうしたらいいんだろう。
そんなことばかり考えながら過ごしていたある日。
十二月二十四日。クリスマスイブだった。