この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



全く予想もしてなかった理由にびっくりしたけど、ものすごくわかりやすい例えだった。涙もぴたりと止まった。

そういえば春斗、乃愛がいる時でも勝手にドア開けるくせに、悠聖がいる時は一度たりとも開けたことがない。

なるほど。もしそうなってたらって想像して、だとしたら遭遇したくないってことなのかな。

納得しつつ、あたしの頭にはとっても簡単な解決法が浮かんだ。

「じゃあ悠聖んち行けばいいじゃん」

「来るのはいいけど……お前そんなにしたいの?」

「そ……そういうわけじゃなくて」

いや、そういうわけでもあるんだけど。

純粋に、悠聖の部屋を見てみたい方が大きい。普段はどんな風に過ごしてるんだろうとか、どんな音楽を聴くんだろう、とか。

あたしが知らない悠聖を、全部知りたいと思った。

「いいよ。来る?」

「行きたい! 今から?」

「アホ。こんな時間に連れ出せるわけねーだろ」

確かにそうだ。もう日付が変わろうとしている。

「じゃあいつ?」

「いつでもいいけど、どんだけしたいんだよ」

さっきまではいっぱいいっぱいだったけど、落ち着いてきたら、あたしなんてこと言ってたんだろうって顔から火が噴射しそうになった。

「じゃあ、来週の土曜にでも来る?」

「うん。行きたい」

「了解。部屋片づけとく」

そろそろ帰るかなと立ち上がる。いつもはモヤモヤしたまま見送るだけだけど、今日は少し穏やかな気持ち。

「ねえ、悠聖」

「ん?」

「今、ちゅーだけでもいいから、したい」

悠聖が帰る時、いつも言いたかったけど言えなかったお願いを、静かに口にした。

ダメって言うかと思った悠聖は、優しく笑ってあたしの前にしゃがんだ。

末広二重の大きな目は、笑うと目尻が垂れて、すごく優しい顔になる。

大きな手で、首のあたりをそっとおさえて、ちゅって音を立てて、唇が重なった。