毎年ドキドキワクワクする新学期も、今年は落ち着いて迎えられた。だって二年生の時とメンバーは変わらないのだ。

それに今年のあたしのドキドキは全く違うところに向いてる。

悠聖の誕生日は四月十五日。平日だから会えるのは夜だ。しかも春斗たちもお祝いをするらしく、けっこう遅い時間になりそうだった。

誕生日くらいあたしにひとり占めさせろと春斗に文句を言ったら、「だったら祝う気満々のあいつらを全員自分で説得しろ」と言われたので諦めた。

机の引き出しに隠したプレゼント。悠聖が来るのを待ちながら、ゲームすら手につかないほどドキドキしながら待っていた。だって彼氏にプレゼントを選んだのなんか初めてなのだ。

悠聖が部屋に来たのは、結局深夜近くなってからだった。いつもならうとうとしている時間帯なのだけど、今日ばかりはさすがに緊張してとても寝られなかった。

待ちに待った瞬間に嬉しさを堪えきれなくて、ドアが開いた途端に抱きついた。

「おお、どうした」

「誕生日おめでとう‼」

「はは、ありがとー」

よしよしとあたしの頭を撫でる。

大きくてゴツゴツした手に撫でられても、もう痛くない。すごく優しく、そっと撫でてくれるようになったから。

すぐにプレゼントを渡した。中学生のお小遣いで買える範囲となると、たいした物は用意できなかったけれど。

中身はペンケースと定期入れ。悠聖はけっこうズボラらしく、定期は財布に入れていて、筆記用具は鞄にそのまま入れていると言っていたから。

高価なものは買えない分、実用性のあるものを選んだのだ。

そして使う度に、あたしのことを思い出してくれたらいいな、と思った。

「ありがと。絶対使うから」