「そー。ほんとは誕生花にしてもらおうと思ったんだけど、なんかチィは桜っぽいイメージだったからそれにした」
「うそ……悠聖がこんな可愛いの選んでくれたのー……?」
「お前よく泣くな。ちなみにクマが青いのにも意味がある」
「なに?」
「誕生石、アクアマリンだろ」
「え、知らない」
「……お前はほんとに……まあいいや」
本日何度目かのため息を吐いた悠聖は、あたしの目の前にしゃがんで手を取った。
展望台で渡されたらもっと泣いたのにって言ったら、外でそんな号泣されたら困ると笑った。夜景見ながらプレゼント渡すなんてキザにも程があるだろって。
あたしはそれでも嬉しいのに。
「チィちゃん、好きだよ。彼女になって」
意外と可愛い悠聖の告白に、自然と頬が綻んだ。
「うん。彼女にして」
三月十九日。十四歳の誕生日。
あたしは悠聖の彼女になった。