そんな悠聖の横顔をじっと見ながら、黙って耳を傾けていた。
「最初は未練だったかもしんねーけど、なんかだんだん……そいつのこと好きなのが当たり前になってたっつーか。俺はあいつが好きだって思い込んでた気がする」
「うん」
「しかもそいつ、すぐ男つくったからさ。ちょっと前までは俺のもんだったのに、取られた気がして悔しかったんだろうな」
悠聖の話を聞きながら、あたしはどうなんだろうと考えていた。
あたしにとって椎名は初恋の人で、大好きで、感情のひとつひとつが全部初めてだった。
椎名はあたしの初恋の人。あたしは椎名が好き。いつしかそう思い込んでいたのかもしれない。
「……あたしも、そうだったかも」
前を向き直して、夜景を眺める。
思い出せば思い出すほど、そうだったのだと思えてきた。
途中からはなんていうか、意地だったような気もする。あたしはたぶん、未練の対象が椎名自身じゃなくて、後悔ばかりだった初恋になっていたんだ。
それに、早百合ちゃんに取られた気がして――悔しかったのかもしれない。
「そろそろ行くか」
すっかり話し込んでいたらしく、気づけばさっきよりもだいぶ人が増えてきている。
「送ってく。……てか、春斗んち寄ってくかな」
春斗んちって、つまりはあたしんちなんだけど。
帰ってもまだ一緒にいられると思うと、嬉しかった。


