夜景を堪能するには早い時間だからか、まだ人はまばらだった。そのおかげで、ベンチに座りながら夜景を堪能できた。
「悠聖、こういうところよく来るの?」
「なんで?」
「なんでって、詳しいから」
「そう見える?」
「見えるよ。慣れてるっていうか……昔の彼女と来たとか?」
つい思ったことをそのまま口にしてしまう。だってあんなおしゃれなお店もこの夜景も、男同士で来るなんてあんまり想像つかないし。
笑うかと思ったのにため息をつかれた。
「お前さあ。そーゆうこと言っちゃう?」
右側に座ってる悠聖は、細めた目をじろりとあたしに向けた。
どうして呆れられるのかわからない。
「だって気になったんだもん」
「アホ。雰囲気台なしだし、かっこつかねーだろ」
「そうなの? ごめんね。でも気になる」
「ちょっとはかっこつけさせろよ。お前はほんとに……あれだよな」
今度は少し笑って、あたしの質問に答え始めた。
「正解は、初めてです。昔の女となんか来たことありません」
予想外の答えだった。あたしの中では「元カノと来た」が正解だと確信していたのに。
「じゃあなんで詳しいの?」
あたしのほうを見て、じっと目を見つめて、ほんの少しだけ、恥ずかしそうに、
「お前、絶対こーゆうの好きそうだなと思って、調べたんだよ」
恥ずかしいこと言わすなアホって言いながら、またそっぽを向いた。
「……あたしのために、調べてくれたの?」
「まーな。俺かっこいいだろ」
「……うん。ありがとう」
どうしよう。嬉しい。嬉しくて嬉しくて、もともとあまり強くない涙腺が緩んでしまう。


