この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



「食べれる。余裕。食べていい?」

「ああ、全部食っていいよ」

ありがとう、と震える声でもう一度言ってケーキを頬張る。甘くて、優しくて、すごくおいしい。

「うまい?」って言いながらにこにこしている悠聖も、心なしか嬉しそうだった。

おいしくないわけない。おいしいよって答えて、本当にひとりで完食してしまった。

陽が落ちてきた頃、悠聖が「そろそろ行くぞ」と立ち上がった。時間的に、たぶん次で最後だ。

想像以上の出来事に感動が抜けないあたしは、わくわくしながら悠聖のあとをついていった。

「チィ、時間大丈夫?」

待ち合わせは午後だったし、移動とご飯でけっこう時間を食ってしまった。辺りは暗くなってきていて、街に少しずつ明かりが灯り始めている。

「大丈夫だよ。あたしもともと門限あるわけじゃないし、今日はちょっと遅くなるかもって言っといた」

「そっか。帰りは家まで送るから」

「うん、ありがとう」

ふたつ目の行き先は展望台だった。チケットを二枚買って……というか買ってくれて、エレベーターで最上階に昇る。

あたしは今日一円も出していない。ご飯も、電車の切符さえも、全部悠聖が払ってくれている。

誕生日だからそうしてくれているのだと思ったら、申し訳ないけれど素直に嬉しかった。

「わー! きれい‼」

冬は陽が落ちるのが早い。お店を出た時は薄暗いくらいだったのに、最上階に着く頃にはすっかり夜になっていた。大きな窓の外には、夜景が広がっている。

「わー! きれい! すごーい! 夜景なんて初めて‼」

「喜んでくれてよかった」

「うん! ありがとう‼」