「いや、変とかじゃなくて。なんとなく違うもんだよ、〝ただの友達〟と〝昔なんかあった奴〟は」
そうなんだ。全然気づかなかった。
悠聖が鋭いのか、本当にあたしたちの雰囲気が〝ただの友達〟とは違うのか、よくわからない。
「あいつさ。……いや、ごめん。なんでもない」
言いかけてやめられるのって、ものすごく気になるんだけど。
だけどもう答えてくれない気がしたから、それ以上は突っ込まないことにした。
やっと起き上がった悠聖は、すっかり陽が落ちている外に目を向けて、「さみ」とつぶやいた。
「入る?」
毛布をちらっと広げる。こないだと同じように。
こっちを向いた悠聖はちょっと停止して、
「……お前さ」
呆れたように、深い深いため息をついた。
そしてじろりとあたしを睨む。
「バカ?」
は? バカ? バカってあたしが?
「なんで?」
「バカだろ」
「え? なんで⁉」
「黙ってろバカ」
「だからなんでっ」
急に「バカ」と連呼されてあたしもちょっとムキになる。今度はさっきよりも盛大なため息をついて、軽くデコピンをされた。
「いぃっっったぁい!!!」
いくら軽くても男の力だ。おでこが割れたんじゃないかと思うほど痛い。
「なにすんのバカ!!」
「バカはてめーだっつってんだろ」
「意味わかんないっ」
「あーはいはい」
急に怒られて、バカと連呼されて、デコピンまでされたのに、最後は流されて。
意味わかんない。あたしがなにしたって言うの。
両手でおでこをおさえながら怒っているあたしを見て、悠聖は「はは」と短く笑った。あたしにとっては全然笑いごとじゃないのに。
「そろそろ出かけそうだし、春斗んとこ戻るわ」


