「ううん。おかげさまでもうとっくに切れました。乃愛たちと遊ぶと思う。誕生日近いから、毎年一緒にお祝いしてるの」
「乃愛って、あのやたら可愛い子?」
やたら可愛い子、って。いや、やたらどころじゃなく可愛いんだけど。
「可愛い」なんて、あたしに言ってくれたことないんだけどな。
……って、なに考えてるんだろう。
乃愛が可愛いのは当たり前だし、悠聖に可愛いって言われたいわけでもないし。そう、そういうんじゃない。
ただなんとなく、なぜか、ちょっとだけ、胸のあたりがチクッてした。
それを悟られまいと思ったあたしは、なんとなく毛布にくるまる。
「〝たち〟って、友哉とかも?」
「あ、うん。たぶん」
みんなでお泊まり会(?)をした翌日、友哉もうちに遊びに来たからふたりは面識がある。
なぜか友哉は悠聖と春斗にめちゃくちゃなついて、学校でも「まじかっけー」とか「また会いてー」とかずっと言っていた。
「友哉ね。あいつ可愛いよな」
え? 友哉も可愛いの?
「友哉にも祝ってもらうんだ」
「あ、うん」
悠聖は天井を見つめたまま続ける。
「友哉ってさ、女いる?」
「いないよ」
「へー。前に言ってた『彼氏の友達と昔付き合ってたこと隠してたらそれがバレて振られた』ってやつ。彼氏の友達って友哉だろ」
たまにくる悠聖の質問攻め。
少しドキッとした。聞いてなさそうだったのに、ちゃんと聞いてたんだ。
「なんでわかったの?」
「なんとなく。雰囲気」
雰囲気? あたしと友哉の?
あたしたちの間にそういう雰囲気があるなんて、自分じゃ全くわからない。
「なんか変だった?」


