二時間くらいやっていたから休憩しようと提案すると、悠聖は大きく伸びをしてベッドに倒れ込んだ。

まるで自分の部屋みたいに、さも当たり前かのような平然とした顔でくつろいでいる。

「あ。俺、来週はあんまり来れないから。バイトある」

そんなこと報告されても。別に約束してるわけじゃないし。

そう思いながら、ふーん、と返す。

「バイトしてたんだ」

「たまにな。親父の会社でバイトしてんの」

「え? お父さん社長さん?」

「まあ」

「へー、すごいね。悠聖も将来は跡継いだりするの?」

「しねーよ、兄貴いるし。他でバイトするよか割いいから手伝ってるだけだよ」

あまり聞かない悠聖の話。そういえばあたし、そんなに悠聖のこと知らないかもしれない。

「悠聖、誕生日いつ?」

「四月十五日」

「血液型は?」

「O型」

「身長は?」

「一八〇くらい。……なんだよ急に」

一八〇って、でか。

「……なんとなく」

こんなに話してるのになにも知らないのもな、と思っただけなんだけど。

悠聖は不思議そうに眉をしかめて、変なの、と笑った。二重の大きな目が、優しく垂れる。

「チィは? 誕生日」

「三月十九日。ちなみにA型。ちなみに一五三センチ」

「誕生日しか訊いてねーよ。ちっちぇーな」

訊いたからには自分も同じことを答えるのが礼儀だと思ったのだけど、悠聖はそんなに興味がないらしい。

ほらね。これのどこが好きな女の子に対する態度なのよ。

「つーかもうすぐじゃん、誕生日」

ベッドに寝転がったまま、両手を頭の後ろにまわす。

「うん」

「宗司とデート?」