三月に入って二回目の土曜日。あたしの誕生日の一週間前である今日は卒業式だった。

せっかく午前中で終わりだというのに、乃愛に用事があって遊べず暇を持て余していたあたしは、ご飯を食べてから部屋でごろごろしていた。

すると一週間ぶりに悠聖が部屋に来た。知り合ってから週に二・三回は来ているから久しぶりに感じる。

すぐに開催される、恒例のゲームバトル。

「悠聖、進級できるの?」

「アホか。できるよ」

いつもバカにされるのは悔しいから些細な反抗を覚えたものの、悠聖は気にしてないようで、涼しい顔でスルーされる。

乃愛に言われてから少し意識していたけれど、一週間会わないうちにそれも落ち着いた。

だって本当にあたしのことが好きなら、もっと連絡とかしてくるものじゃないの?

連絡先を交換してから約一ヶ月、悠聖から連絡がくることはあまりない。悠聖が家に来てたまにあたしがいない時に「今日はいないの?」とかそれくらい。

あたしだったらきっと、会いたくて会いたくて、つい電話とか……しないか。というかできない。椎名の時に実証済みだ。

だけど悠聖がそういうタイプだとは到底思えないし、見るからに肉食って感じ。

「ふーん」

「くだらねーこと言ってんな。真面目にやれよ」

「え? ……あっ!」

画面の右側には大きく『LOSE』と表示されていて、負け慣れたあたしは大人しくコントローラーを床に置いた。

ただでさえ勝てないのに、考え事をしながら上の空状態で勝てるわけがない。