「いやいや、ありえないでしょ」

「いやいやいや。なんでわかんないの? あたし今日初めて会ったけど、見てたらすぐわかったよ?」

チナほんと鈍感だよねって呆れながら、またベッドに寝転がった。あたしもつられて寝転がり、布団をかぶった。

いやいやいや、ありえない。絶対にありえない。

いっつもバカにされるし、子供扱いしかされてないし。

悠聖があたしのことを好きなんて、そんな様子はまったくないはず。

「知り合ってからずっと、家来る度にチナの部屋に入り浸ってるんでしょ?」

「うん……」

「話聞いてる時からそうかなーとは思ってたけど、今日見て確信した」

入り浸っているのは、あたしの部屋にゲームがあるから。下手なあたしを負かすのが楽しいから。春斗の部屋にいてもやることがないから。

それだけ、のはず。

「悠聖くん、チナのことばっかり見てるよ。すっごい優しい顔してるし、しゃべり方も。あたしにも優しくしてくれてたけど、チナとしゃべる時は一段と優しい声になってる」

そんなの全然知らない。

話す時はだいたいふたりだし、他の人と話している時とどう違うのかなんてわからない。

「チナのこと好きなんだなーって、たぶんみんな気づいてるんじゃない?」

あたしから見た〝高校生〟はすごく大人だ。だからあたしみたいなガキんちょは眼中にないって、勝手に思っていた。

毛布にくるまった時、一瞬だけ至近距離になった悠聖の顔を思い出して――また変なドキドキが大きくなった。