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記憶にある出来事をただひたすら綴っていくつもりだったのだけれど、うだうだと長い話をしていると飽きさせてしまうと思うから、今のあたしのナレーションもちょこちょこ入れていこうと思う。
楽しませるほどの話術もないのだけど、どうか最後まで懲りずにお付き合いいただけると幸いです。
この物語は、十年前、あたしが中学一年生だった頃までさかのぼる。
当時、恋愛に興味があったかと訊かれたら、答えとしては「なくはなかった」だと思う。
小学校高学年くらいから周りでは当たり前に好きな男の子の話が浮上するようになったし、誰と誰が付き合っただの別れただのと耳にすることもあった。
色めき立つ友達を見ているうちに、それなりに憧れに似た感情を抱くようにはなっていた気がする。
それでも「興味がある」と答えるまでに至らなかったのは、異性に対して特別な感情を抱いたこともなければ、なんなら男の子は苦手なほうだったから。
自分が誰かを好きになったり好きになってもらったりするなんて、まるでイメージが湧かなかった。
きっと高校生くらいになれば自然とそうなるんじゃないかな、なったらいいな、なんて漠然と考えていた。
そんなあたしに想像よりもかなり早く『初彼氏』ができたのは、たったの十二歳の頃だった。
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