その8
夏美


『…皆さん、その上申書には、実際に実現したら大会出場の当事者になり得る、都県境各中学・高校の女子陸上部の方達からの、大会実現を要請する賛同署名を添えることにしています。さらに、PTA・地域住人の方達、東京埼玉双方の一般中高生も…、これは男女問わずです。これら、多くの都県境に住む人々からは、既に合わせて約700人の署名をいただいています』


”パチパチパチ…”


『これを、今月中に1000人突破としたい…。本日は、実際に大会が実現となったら第一回の大会会場にと考えている、ここ県民運動場において、皆さんから賛同のお力添えをいただきたいと思い、参集願いました。長々と、こんなうっとおしいデカい体の女が偉そうに、ホント、すんません。本日はお忙しいところ、最後までご清聴いただいて、本当にありがとうございました…』


”パチパチパチ…”


私はこの時、気づいた


この人の怪物たる所以、こんなインテリジェンスから来るものなんだろうと…


私はなかなか鳴りやまない拍手の中、最後まで手を叩き続けていたわ


力強く…


...


紅丸さんの演説が終わると、早速署名台が運ばれ、私たちは紅組メンバーの指示に従って、順番待ちの列に付いたわ


この日は署名した後、紅丸さんが全員と握手をしてくれる流れになっててね


要は私もこの時、この怪物と初めて握手したんだ


後にこの時のことを話すと、紅子さんはとても嬉しそうな顔をして、”そうか、あの中にこの名策士さんがね…”て言ってくれてたわ