私ってそういうこと?/②発熱&開眼編

その9
夏美



「…私は今、ことを急いて事態の沈静化だの、一度組織として正式に承諾した去年秋の当該条項破棄を求めるとかの方針には反対です!」

私はしょっぱなから結論をストレートにぶち上げた

さすがに緊張で声は上ずってた

真澄と比較すれば、明らかに迫力不足よ

わかってるって、そんなこと

まあ、やはり、出だしはシーンとしててね…





「…今、土佐原先輩から告げられた紅丸さんのコメントは、いかに南玉が妹分の組織とは言え、紅組は外部の組織だし内政干渉はできないので、我々に向けて今回の現状を踏まえた発信をしてくれてるんだと思いますよ。それに私たちは気づくべきです。いたずらに、カッカとはやる前に…」

私はあくまで皆の目の前に公表された材料を叩きながら、自信の推論も大胆に織り込み、思いの丈を然るべき”相手”にガンガンぶつけたわ

すると、言葉の折り目折り目で、まず1年以外の先輩方から拍手をいただいた

そのうち1年のメンバーも、遠慮気味に拍手をしてくれ始めてね…

気が付くと拍手は、半分以上から起こっていたわ

「…紅丸さんからは、まず、”こっちの仕掛け”はしっかり”届いてる”と。さらに、砂垣さんの墨東会外部からのアクションによる効き目”は、限定的だと…。そんなメッセージを発信してくれたんじゃないかと思います」

私も徐々に言葉の端々に力がこもり、最後は明らかに拍手のボリュームは真澄を上回っていたのよ

「…ここで木を見て森を見ずは、砂垣さんら排赤一派の思うつぼです。あくまで紅組とはこれまで通り、適度な距離感を維持した信頼関係を死守するべきです!」

真澄と私による真向の喧々諤々の論戦は、ほとんどディペートの様相を呈したていたんじゃないかしら

...


結局この日…、新入メンバー21人のうち、急進派が主張する意見を支持したのは真澄を含めて5人に過ぎなかった

この時の真澄の悔しそうな顔は目に焼き付いてる

これ以降、守旧派×急進派という対立図式の元、真澄と私は引退までぶつかり続けることとなる…

それは次第に、お互い水面下での駆け引きや策を投じた戦い模様に変容していったわ

...


後に、総長の座に就いた達美と共に、総長補佐として大所帯の南玉連合を引っ張っていく過程では、正統南玉連合を守る為、甲斐先輩がいみじくも言われていた汚れ役も厭わず、思い切った策に打って出たりもした

その都度、真澄はあの真っ赤な鬼の形相で私を睨みつけていたわ

”名策士”…

いつしか私はこう呼ばれるようになった

そしてその自負のもと、私はあの本郷麻衣と壮絶な権謀術策を競うこととなる…




ー完ー