その2
夏美



「えー‼いきなり面談…、なの❓」

「そう。タッコのお兄さんの彼女の伝手で、南玉連合のあるOGの人とコンタクトがとれたそうなのよ!」

「OG…❓南玉連合って、そう言うポジションの人も置いてるんだ…」

「夏美、そこが紅組との大きな違いらしいのよ!…紅組は社会人になっても現役メンバーで通せるけど、南玉連合は原則高校生が現役メンバーで、高校出たらOGという立場から、まあ後見役っていうか、現役をバックアップしていく役目を担ってる。幹部会だってOG連の承諾がないと議案が通らないそうだし、だからこそ、現役メンバーは大所帯でも安心して運営していけてるんだろうね。その大御所の先輩OGがさ、夏美の話ししたら是非会いたいって言ってくれてるんだよ!」

私は急な話で、きょとんとしていたわ(苦笑)


...



「あのさー…、私がケンカなんかできないこと、言ってくれた❓」

「オフコース!」

「高校入っても陸上は優先したいことも❓」

「オフコース!」

「でもさー、なんで私なんかに会いたいってのがね…。ちょっと、向こうの判断基準がよくわからないよ」

「いい、夏美…!何度か言ったけど、南玉はどんどん人が増えてってるんだよ。まあ、そうなればさ、必然的に内部でもいくつかのグループ的な、ああ、平たく言えば派閥みたいな構図もできてるそうなのよ。そうなると、内部をうまくリードできる人間が必要になるわ。現役メンバーの中でもさ…」

「派閥…」

私はふとこの2文字を呟いていた

「…でも、皆それなりに猛る女達よ。その間に立って、全体をまとめていくことなんて、そう誰にでもできることじゃないでしょ?」

「それ、私にできると言うの、あなた達は…❓」

「オフコース!」

「…」


...


「…タッコと私はさ、夏美がいざとなれば、例えスケ番だろうが女暴走族だろーが、アタマと策を使って巧みにねじ伏せる力量を備えてると確信してるのよ。実際、去年の”あの時”だって、向こうはそれなりの不良どもだったよ。私らはさ、その場面を目撃してるんだもん!」

「そうよ…、マユミの言うとおり、夏美は念密に策を用いて、相手からすれば嵌められたって思っただろうけどね…。でもさ、私からしたら、ヤツラを恐れず堂々と対峙してたわ。そして、私たちを力強く引っ張ってくれたのよ。あなたは…」

「”それ”をタッコが仲介者に話したらさ、その人から南玉のOGに伝わって、あなたに興味を持ってくれたんだって。ねえ、またとないチャンスなんだって。会ってきてよ、夏美!」

私は親友二人の熱意もあって、この場で首をタテに振ったわ