記憶を、なぞる。【完】




「さっき麻綺と弥紘が一緒にいるの見て、俺あの時と同じくらい…嫉妬した」

「…嫉妬?」

「…」

「あのときって、高校のとき?」

「だからさ、察しろよ阿呆」

「だって、嬉しいんだもん。詩乃が嫉妬してくれるなんて思わないじゃんか。もしかして、だから、不機嫌だったの?」

「…」


首を傾げると、聞くなと言わんばかりに睨まれる。だけどね、そんな赤い顔で睨んでも全然怖くないんだよ。

それにしても、照れると益々口が悪くなるところ、どうにかならないんだろうか。


「お前さ、わざとなの」

「なにが?」

「弥紘にわざと、またねとか言ったわけ?またアイツと会うつもりかよ」


不貞腐れた態度を隠そうとしないで、いじける姿に胸がぎゅっとなった。胸がいっぱいになって泣きそうになる。


「…なにそれ。かわいい。それも、やきもち?」

「可愛くねえし、やきもちなんてそんなあまっちょろいもんじゃねえんだわ」


なんだろう。ほんとにいつものクールぶっている姿はどこにいってしまったんだろう。


いろいろな感情がごちゃまぜになって、泣きそうになりながらクスクスと笑っているわたしに詩乃は、グッと眉間に皺を寄せる。