あまりに驚いていると、
「麻綺ちゃん、なんでそんな驚いた顔してるの?」
弥紘くんが綺麗に口角を持ち上げながら、くすくすとおかしそうに笑う。
「いや、この間もね、こんな感じで詩乃とばったり会ったからちょっとびっくりしちゃって」
「詩乃と?会ったんだ?」
詩乃の名前を出せば、弥紘くんの色素の薄い瞳はまあるくなる。
「そうなの。弥紘くんは詩乃と会ってる?あ、でもね…——」
このあと、詩乃と会うんだよ。
そう言いたかったのに言えなかったのは、
「なんで麻綺と弥紘が一緒にいんの」
いつの間にかやってきた詩乃が、わたしの腕をぎゅっと掴んで、わたしと弥紘くんに鋭い視線を交互に向けたからだ。
「えっ、詩乃?」
「さっき着いたって連絡したんだけど、返事来ねえから迎え来たんだよ」
びっくりして目を見開くと、うんと低い声が素っ気なく呟く。
片方の腕は詩乃に掴まれたまま、慌ててスマホを確認すると言われた通り、数分前にメッセージが来ていた。
「わ、ほんとだ!ごめんねっ。さっきここでばったり弥紘くんと会って話してたんだ。ね、弥紘くん」
「うん、そうだね」
「…へえ、そうなんだ。麻綺さ、バッグ取ってきたら?」
「…あ、うん。わかった。取ってくる」


