「普通にあるわ。それに、突然避けられたんだからどうしようもねえだろ」
「え、避けられた?なんで?詩乃好きな子にそんなひどいことしちゃったの?」
「はあ?」
もしかして、わたしと同じ扱いをその女の子にもしちゃったとか?それはだめだよ〜逃げられちゃう。
容赦なく質問攻めをして、失礼なことを考えるわたしに、詩乃が眉を寄せて大きな呆れ顔を見せた。そして、何故かこちらに近づいてくる。
「な、に?」
「お前さ、俺のこと鈍感って言うけどお前も大概だよな?」
「…え、どういう、」
どういうこと?わたしが鈍感?…何が言いたいの。
腰を折ってわたしの顔を覗き込んでくる詩乃に心臓がドクンってうるさく鳴った。
綺麗な顔がすぐ目の前にあって、逃げるようにマフラーに顔を埋めるけれど、詩乃の顔はグイッとさらに接近してくる。
「なんか近く、ないですかね…?」
「そもそもさ、知らねえやつの恋の手伝いなんてめんどくさいこと、わざわざ自分からすると思う?」
「…、」
「俺がめんどくさがり屋なことお前知ってんだろ」
詩乃の言葉に、目をまあるくする。
鼓動がどんどん大きくなって、ちょっと呼吸がしづらいような気がする。
だって、信じられないでしょ。
そんなことって、ある?…ほんとに?


