そんな林間学校で事件が起きた。
目的地に着くまではバスで行く。バスの座席は番号順だったから柴野くんと隣になることはなく、隣は私を嫌っている子。
話すこともないと思って寝たふりをして過ごした。
レクは学年全体でやるもので山を使ったかくれんぼだった。
高校生にもなってかくれんぼをすると思ってなかったが、大人しく隠れようとすると
「るーなちゃん」
と、たしか、佐藤?くんが話しかけてくる。
「えーと、佐藤くんだっけ」
笑顔で頷いて
「覚えててくれたんだね。嬉しい」
と言った。
そして
「一緒に隠れよ」
と私の手を握って走り出す。
「ちょっと!」