「私は佐藤くんとキス、したい…」
彼は静かに口を開いた。
「ねぇ。るなちゃんのせいだからね?」
彼は私の顎に手をかけて、ぐいっと上へ向ける。
彼の優しいそれが私のに触れる。
熱い。酸素を求めて少し唇が離れても、すかさず彼の唇が降ってくる。
「…んぁ、ん…ま、って」
ようやく彼のそれが離れる。はぁはぁと肩で息を吸っていると
「流奈がしてって言ったんだからね。それに……」
「それに?」
口ごもる佐藤くん。
「こんなんじゃ、まだまだだし」
「!!」
まだ、まだ…?
確かに私、キスとかしたことなかったけど。キスにも上手い下手ってあるみたいだし、そんなに下手だったのかな…
「私、いっぱい練習するね!」
「え?練習なんてしなくていい。というかしないで」
「なんで?私じゃダメなんでしょ?」
はぁーと大きなため息をつく。
「そのままのるなちゃんが好きなの。だから、他の奴のところ行かなきゃ、いい」
「うん!行かない」
「!」
あれ?
佐藤くんの顔がまた、
「そーいうとこだから!もう」
赤く灯って私に触れた。
優しい優しいキスが降った。