私、加賀美流奈。

今日も髪をセットして、ばっちりメイクをする。
通学路で同じクラスの男の子とすれ違う。

「おはよう」

笑って言うと

「あの子また男子に媚び売ってる」

と囁かれる。


もう、慣れた。


挨拶しないより、したほうがいいじゃん。


ドキドキと高鳴る胸を落ち着かせて、教室に入る。席に着いて隣の男の子にも挨拶をする。

「おはよう」

と返してくれるいい人。

この人が私の好きな人、柴野謙蔵(しばのけんぞう)くんだ。