誰か僕に気がついて

夜、父さんと母さんに話した
「達也、えらいな、よくやった!

まるで命のおんじんじゃないか」
父さんがほめてくれた

「つるのおんがえしみたいに
チビつばめちゃんのおんがえしが
あるかもしれないね」

母さんも笑いながらほめてくれた

ぼくは、ふとんのなかでなかなか
ねむれなかった

「あのチビつばめいまごろ何してるかな?
ちゃんと、とべるようになるかな?」
あした、もういちど巣を見にいこう


7月1日

あしたは算数のテストだ

ゆうがた、母さんが
おやつをもってきてくれた

「母さんね、子供のころテストのときは
山をはったのよ」

母さんは大きな目をして笑った

「山?山ってどういうこと?」
ぼくはしんけんにきいた

「先生の出すもんだいを
山かんで当てちゃうのよ~」

母さんはちょっといばってうでをくんだ
「へえ~、どうやって当てるの?」
ぼくはきょうみしんしんだった

「だから~それが山かんなのよね」

母さんはいきなり
赤えんぴつで教科書に
まるをたくさんつけた

何だかてきとうに見えた
「きっとここが出るぞ~!」
母さんはじしんたっぷりに笑った

ぼくは8時から
テレビを見たかったから
母さんがまるをつけたところだけ
がんばってべんきょうをした