「お…おぅ…」


俺は手を止めて、ホッチキスを置いた。

由美がゆっくりと慎重に部室に入ってくる。

まるで何かに怯えてるように。


突然やってきた由美との二人きりの時間に緊張しまくる俺。


「な…なんかやってたの?」


広げられたプリントの山を見ながら聞いてきた。


「あ…一年生の勉強会の資料まとめてて…」


落ち着け、俺…

普通の会話をすればいいんだ。


「由美は?何やってんの?」

「教科書忘れちゃって…」


俺の方をチラチラ見ながら由美は自分のロッカーに向かった。

由美の甘い香りが俺の鼻をくすぐる。