「はーい、お待たせ。仁くんのコーヒーね」
 
美桜達が席に戻ってきて、皆で久しぶりの再会を喜ぶ。

「このカフェで四人揃うなんて、懐かしいね」
「うん。あの頃は楽しかったよね」
 
すると絵梨が、改めてアレンと美桜の顔を見比べながら身を乗り出して聞く。

「ところでお二人さん。なぜ今日はまたお揃いで?私と仁に話でもあるんじゃありませんこと?」
 
やはり絵梨も、ここに来るまでにある程度予想していたのだろう。

(いやー、でもどこまで想像してるのやら?)
 
仁は心の中でほくそ笑む。

「うん。あの、あのね」
少しうつむきながら、はにかんだように美桜が話し出す。

「実は、私とアレン、結婚することにしたの」
 
えっ!と驚いて目を大きく見開いたかと思うと、次の瞬間絵梨は、ぽろぽろと大粒の涙をこぼし始めた。

「わ!え、絵梨ちゃん?ちょっと大丈夫?」
「結婚・・・美桜がアレンと結婚なんて。すごい、すごいよ。だって私、二人の気持ち気付いてたから。お互い惹かれ合ってるの、見てて分かったもん。それなのに、何も言わずに別れたりして・・・あの時私まで切なかった。だから嬉しくて。良かったね、美桜」
「・・・絵梨ちゃん」
 
美桜の目からも涙がこぼれ落ちる。

そうだ、いつだってそばで自分のことを見守ってくれていた。

言葉にしなくても、気持ちを分かってくれていたんだ、絵梨は。
 
そして今も、まるで自分の事のように涙を流して喜んでくれている。

「ありがとう、絵梨ちゃん。本当にありがとう」
「おめでとう、美桜。幸せにね」
 
二人は泣きながら笑い合った。