二人して、顔見合わせて笑い出す。

「なんで! なんで同じこと考えてるの!」
「考えちゃ悪いか!」

 決闘を挑むように告白しようとした香子と、それをかわすように先手を打った日雀。
 沈黙する暇もなく、二人で笑って……

「あっ、ながれた!」

 香子が後退して、顔を上げる。
 精一杯輝きながら墜ちてゆく流れ星。
 香子は一瞬の奇跡に心を奪われる。
 だから、バランスを崩した日雀が香子の目の前で水溜りに倒れこむことに気づかなかった。派手な音が、しんと静まりかえった公園内に響き渡る。

「……何やってんのヒガラくん」
「やっぱり嫌いだ!」

 頭から泥水を被った日雀は、流れ星を恨むように香子の前で拗ねる。

「そんなこと言わないでよー」

 ハンカチで日雀の顔についた泥を拭いながら香子は彼を宥める。
 至近距離で、日雀は観念したように、香子にだけ聞こえる声で、そっと囁く。

「じゃあ、好き」


 雨上がりの星降る夜に、恋という名の星が()まれる。
 たったひとつの想い、輝かせて。


 ―――fin.