そんなことを思ってると

実瑚が呼ばれた。

次、私の番だ…。

一番後ろには保護者が我が子を撮ろうとカメラや携帯などを構えていた。

中には場のムードのせいかハンカチを手に涙を流してる保護者もいた。

実瑚は卒業証書を受け取ると誰かに手招きをしだした。

すると

真っ黒なスーツを着た白髪頭のおじさんが申し訳なさそうに姿勢を低くしながら

机の間を通って先生と実瑚が居る教卓に行った。

お父さん?おじいちゃん?

首を傾げて見ていると

私をチラッとまたあの妖しい笑みを浮かべて見てきた。

そのあと

黒板を背にみんなの方を向いた

そして白髪頭のおじさんに何か受け取っていた。

何…あれ?

もしかしてマイク?

実瑚はしっかりそれを手に握った。

やっぱりマイクだ。

みんなは実瑚の様子にざわめきだす。

歌でも歌うつもりかしら?

ぼんやりとそんな様子を見ていると

マイクのスイッチを入れた…。