亘くんがお姉ちゃんと付き合ってたかどうかはわからなかったけど、それでも私が知らない2人の関係があるようで、私はますます亘くんを避けるようになっていった。
ある日、お昼前に準夜勤の為、部屋を出ると亘くんがソファーに座っていた。
「詩織、最近全然顔見ないし…元気だったか?」
「うん。元気よ。今までだって1週間会わない日あったし…じゃあ準夜勤だから、そろそろ行くね」
「詩織…お前なんか避けてる?俺、なんかしたか?」
「ないないない。なんにもないよ。気にしすぎ!じゃあねー買い物行きたいから」逃げるように部屋を飛び出した。
うちの病院は3交代制なので日勤、準夜勤、夜勤がある。
準夜勤は夕方から夜中、夜勤の人と交代するまで、夜勤は夜中から朝、日勤の人と交代するまで、亘くんは診察があったり手術があったりで私が準夜勤と夜勤に入ると本当に合わない。しかも診療科が違う階なので病院でほとんど姿を見ることはない。
本当はこの関係がいつまでも続いてほしいと思い始めた自分がいる。でも…それは叶わない。いつかは壊れる…私は神さまに嫌われてるんだから…

1人暮らしでもしようかな?したほうがいいよね。亘くんモテるし…お姉ちゃんのことがあったとしても、きっといい人ができるかもしれない…その時に私がいたら邪魔だよね。

不動産屋さんの店の前で色んな物件を見た。セキュリティとか条件とか入れたら、やっぱり家賃は高くなるけど妥協できない…ついつい亘くんの家と比べてしまう…悩みながら職場に向かった。

「おはようございます主任、今日はお願いします」
「詩織ちゃんよろしくね。最近、忙しそうだけど大丈夫?身体、若いからって無理しないようにね」
「ありがとうございます。気をつけます」 
「じゃあ申し送りします」