「そうだよね。『なんだよ、それ』って、怒りしか湧かないよね」
 少しだけ苦笑いすると、わたしはもう一度口を開いた。
「だけどね、わたし……気付いたら、由井くんのことが本気で好きになってた」
 わたしの言葉を聞いて、由井くんが、はっと息を飲むのがわかった。
「由井くんが、わたしのことを運命の相手(パートナー)だって思ってないってことはわかってる。だけど、ここに来て由井くんに出会えたこと。勝手に運命の出会いだったって思ってもいいですか? だって、人を好きになるっていう気持ちを、本当の意味で教えてくれたのが、由井くんだったから」
「ちょっと待て。水瀬が? 俺のことを……?」
 由井くんが、わしゃわしゃと頭をかきながらしゃがみ込む。
「俺、一攫千金狙いの水瀬と本気の恋愛は無理だって、早々に諦めてたんだぞ? ……は? 今さら、なんだよ、それ。俺のことが……好き?」
 由井くんが、ひとりごとのようにぼそぼそとつぶやく声を聞いていたら、なんだか胸がドキドキしてきた。

 だって……。