「いえ……。わたし、本当は由井くんにそんなふうに言ってもらえるような人間じゃないんです。だってわたし、由井くんにずっとウソついてるから。由井くんがすごくいい人だからって、わたし、それに甘えて、全然本当のことが言えなくて……。でも、このままじゃダメだってわかってるから。わたし、帰ったらちゃんと由井くんと話そうと思ってます」
 わたしは、ミユさんの目を見て、そう宣言した。
「うん。応援してる。あたしも、水瀬さん見習って、吉野とちゃんと向き合ってみるよ。『嫉妬ばっかしてないで、ちゃんとあたしのこと見ろ!』って。思ってること伝えないと、前に進めないもんね。恋ってさ、こんなに大変なもんだったんだね」
 そう言って、ミユさんが切なそうに笑った。
「ミユさんも頑張ってください。応援してます!」
 ぺこりと頭を下げると、わたしは廊下を駆け出した。

 早く……ちゃんと由井くんに伝えなくちゃ。