ぼーっとしたまま授業を終え、またとぼとぼと寮に向かって歩いていると、「水瀬さん」とうしろから声をかけられた。
足を止めて振り向くと、由井くんの元カノのミユさんが立っていた。
「その……昨日は悪かったわね」
「昨日、ですか?」
「ほらっ。渉、今謹慎処分になってるんでしょ? アレ、元はといえば、うちのが渉にちょっかいかけたのが原因だから、さ」
ミユさんが、言いにくそうに言った。
「ミユさん、ひょっとして原因を知ってるんですか!? なにがあったのか、教えてください!」
わたしは、思わずミユさんに詰め寄った。
「ひょっとして、渉からなにも聞いてないの?」
「『ごめん』って。それだけで。どうしても理由を教えてくれなくて……」
ずっと我慢していた涙が、ぼたぼたっとこぼれ落ちた。
わたしが泣いたら、きっと由井くんはもっとわたしに申し訳ないって思うにちがいないから。
部屋ではどうしても泣くことができなかったんだ。
「あーもうっ。そのいらない優しさ。ほんと渉らしいわ」
おでこに手を当ててそうつぶやくと、ミユさんはもう一度わたしの方を見た。
足を止めて振り向くと、由井くんの元カノのミユさんが立っていた。
「その……昨日は悪かったわね」
「昨日、ですか?」
「ほらっ。渉、今謹慎処分になってるんでしょ? アレ、元はといえば、うちのが渉にちょっかいかけたのが原因だから、さ」
ミユさんが、言いにくそうに言った。
「ミユさん、ひょっとして原因を知ってるんですか!? なにがあったのか、教えてください!」
わたしは、思わずミユさんに詰め寄った。
「ひょっとして、渉からなにも聞いてないの?」
「『ごめん』って。それだけで。どうしても理由を教えてくれなくて……」
ずっと我慢していた涙が、ぼたぼたっとこぼれ落ちた。
わたしが泣いたら、きっと由井くんはもっとわたしに申し訳ないって思うにちがいないから。
部屋ではどうしても泣くことができなかったんだ。
「あーもうっ。そのいらない優しさ。ほんと渉らしいわ」
おでこに手を当ててそうつぶやくと、ミユさんはもう一度わたしの方を見た。



