そうだよね。由井くんは、ちゃんと恋愛がしたくてここに来たんだから。
 だから、わたしには、由井くんを引き止める資格なんかないんだ。
 だって、どこまで行っても、わたしたちがここへ来た目的が交わりあうことはないんだから。

 じわっと滲んできた涙がこぼれ落ちないように、わたしは爪が食い込むくらいぎゅーっとこぶしを強く握りしめた。
「ごめんねー、パートナーがわたしなんかで。もうちょっとちゃんとしたシステムだと思ってたのに、“デステニー”もたいしたことなかったね」
 言葉にするうちに、せっかく我慢した涙がまたこぼれそうになった。

 こんなの……もうごまかしきれないや。

 わたし、由井くんのことが好きになってる。

「だな。俺も期待しすぎてたわ。やっぱこういうのは、他人に頼るんじゃなく、自分で探さなきゃだよな」
 そう言って、由井くんが寂しそうな笑みを浮かべた。

 ……やっぱり、わたしじゃダメなんだね。

 そっか、そっか。そうだよね。

「ま、新しいパートナーが見つかるまでは、このままポイント稼ぎは頑張るから心配すんなよな。ああ、そうだ。しばらくは水瀬の創作の取材にも協力してやるよ。情報は多い方がいいだろ?」

 いつになく由井くんがよくしゃべっている気がする。
 いろいろ吹っ切れて、元気になったのかな?
 由井くんが元気でいてくれるなら、それでいい。

 わたしは、自分に向かって必死にそう言い聞かせた。