「由井くん! 今からでも頑張って1位取りましょう」
 いろいろ覚悟を決めて、わたしは両腕を広げた。
「あー……じゃあ、水瀬が敬語やめたらな」
「へ!? いやこれは……わかり……わかった。やめるように努力しま……する」
「『しまする』って……!」
 笑いのツボにはまったのか、突然由井くんがお腹を抱えて笑いだした。
「ち、ちがっ……」

 恥ずかしさで、顔がメチャクチャ熱いんですけど!
 しかも、なんだかみんなにジロジロ見られてる気もするし。

「もう、笑わないでくださいよぉ」
 涙目で由井くんに懇願すると、
「ほらまた敬語」
 と指をさされてしまった。

 結局、その後タイムアップまでに割ることができたのは、もうひとつだけ。
 質問カードは、『好きな食べ物は?』。
 由井くんは、迷った挙句、恥ずかしそうに「唐揚げ」って答えた。
 それを聞いて、なんだか男の子っぽくてカワイイな、なんて思ってしまった。