だけど、怒ってるっていうより……悲しそうに聞こえたような気がするのは、気のせい?

「えっと……しゃべってないで、次のいきましょう!」
 なんとなく気まずくなった空気を変えようと、無理やり話題変更を試みる。
「大丈夫かよ。さっき悲鳴みたいの聞こえたけど?」
「あれは、多分なんかの聞き間違いなんで! 忘れてくださいっ」

 うわぁ、やっぱりさっきの聞かれてたんだ。恥ずかしい……!

 わたしが1人でジタバタしていると、ふっ、と鼻で笑うような声が聞こえた。
 由井くんの方をそっと見上げると、ほんの少しだけ笑っているように見えた。
「結構すげー音出たもんな。みんな度胸あるよなー」
 ハートの風船を両手でもてあそびながら、由井くんが周囲をぐるりと見回す。

 さっきから気になってるんだけど、なんだかんだ会話を引き伸ばしてくれてる?
 ひょっとして、さっきわたしが悲鳴をあげたから?

 ……いやいや。こんなことで、本気で一攫千金を狙ってる由井くんに気を遣わせてしまったら、申し訳なさすぎるよ。