マイ・スイート・チョコレート

「沙良ちゃんは楓に良いと思ったんだけどなぁ。まさしく美男美女でしょ?」
「「はぁ!?」」

あたしがそれとなくつぶやくと、2人とも怖い顔をして振り返ってきた。


「な、なに?!」
「そこのコンビニ寄ろーぜ! チョコシュー買うんだろ!」
「そーだな」
「な、なによー。ちょっと思っただけじゃん!」

2人ともあたしを置いてコンビニに入って行ってしまう。仕方なく、あたしは入り口横で2人が出てくるのを待つことにした。

見慣れない景色に、キョロキョロと辺りを見回して、学校の門がここからよく見えることに気がついた。
桜が風に舞って、こちらまでヒラヒラと飛んでくる。
日差しも今朝より高くなってポカポカと暖かい。

あ、あっちにも門があるんだ。

あたしは正面入り口の門とは別に、その半分くらいの小さな別の門があるのを見つけた。
緑が覆い茂っていて、あんまり人が通ることはなさそうな門。しばらく見ていると、人影が見えた。

門は開くことはないけど、そこに見えたのは、今日初めて会った担任の先生と、…あの綺麗な横顔。


「沙良ちゃん……?」

2人はすぐに茂みに隠れてしまって、見えなくなってしまったけど、あの横顔は絶対に。

「何、けわしい顔してんの? はい」

戻ってきた楓があたしにチョコシューを一袋くれた。
自分の分はしっかり袋の中に入っている。

「ありがと。今ね、あそこに……」

言いかけて、あたしはやめた。

「なに?」
「いや、なんでもない。行こう、電車来るよ」
「じゃあまたなー、圭次」
「おう!」

楓に買ってもらった棒付きキャンディーをくわえて、圭次はご機嫌に片手をあげた。

電車に乗ると空いている席に座り、未だ神妙な面持ちのあたしに楓が棒付きキャンディーをチラつかせる。

「どーした?」
「……んー。沙良ちゃんがさ、さっき反対側の茂みの門のとこに担任と2人でいるのを見たんだけど、なんか不思議に思って……」
「何か連絡でもあったんじゃん? 明日聞いてみたらいーじゃん。もう友達なんだろ?」
「え!! と、友達なの? いいの? あの絶世の美女と? やば」
「ははっ! 圭次と同じこと言ってる!」

遠くてハッキリとは見えなかったんだけど、泣いていた気がするんだよね。

「うん、明日聞いてみる」

あたしが決心すると同時に駅に着いた。