すっかり寒さも和らいだ晴れの日。目に染みるほどに透き通る青い空を見上げて、大きく伸びをした。
三月も終わりに近づいている。
いつもの河川敷を自転車に乗って颯爽と走り抜けていくあたしに、いきなりストップをかける声が響く。
「ちょっと、まてぇ !!」
自転車ごとびっくりして少し跳ね上がると、すぐさまブレーキをかけた。
見渡す限り、サラサラと穏やかに流れる川の音と鳥のさえずりしか聞こえてこない。声の主を必死に探していると、今度は呆れたような深い深いため息が 聞こえてきた。
「どこへ行こうとしている?」
呆れた声の方を振り返ると、 今一番会いたくない顔。顔から血の気が引くのが分かった。無理矢理に口角を上げて、片手を軽く上げると、一気にペダルを強く踏みしめた。
「ごめーん! もう無理! あたし、あんなに頑張ったんだよ? もう解放してよー」
ペダルを踏み込む足に力がこもる。なんとか逃げ切ることに成功した。
今まで、学力とはだいぶ程遠い高校の受験を、必死に頑張って頑張って、きっとギリギリラインだったに違いないが、見事にあたしは合格を果たした。
春からは高校生。
小さい頃から隣の家に住む、幼なじみの桐谷 楓は頭が良く、余裕で受験を迎えられることもあり、あたしは毎日勉強漬けの日々を強いられた。
もちろん、楓のいない高校生活はありえない。
今まで本当にお世話になりっぱなしで、頭が上がらない。
でも、今回は本当に鬼のようだった。
それも晴れて合格!
もう解放される。
そう思ったのもつかの間、入学後に勉強に付いていけないあたしを見越して、楓はまたしても毎日勉強をしろと教科書やら参考書やらをどっさり用意してきた。
もう無理。限界。
そう思って飛び出してきた、
麗かな春の日の午後。
こんなにいい天気なのに、あんな文字だらけの分厚い参考書読んでたらもったいなさ過ぎる!
自転車を走らせて着いたのは、最近オープンしたカフェ。ガラス窓越しに手を振る人影を見つけると、嬉しさのあまり駆け出し、ガラス越しに話しかけていた。
「奈々香さーんっ! 会いたかったよーっ!」
キャーキャーと興奮気味のあたしは、次の瞬間頭を軽くポンっと叩かれた。
「中に入ってから騒げ」
呆れた声は先ほどのトーンよりもずっと優しい。
「げっ! 楓!?」
明らかなあたしの表情に、今度は吹き出して笑われる。
「おまえはやっぱ可愛いなぁ。顔に出すぎだろ。俺も呼ばれたの。さっき一緒に行こうと思ったのに逃げやがって」
「そーだったの?! な~んだぁ、あたしまた鬼が来たのかと…いや、」
「とにかく入ろうぜ、あっちも呆れて待ってる」
ガラス越しに苦笑いをする奈々香さん含め、近くの席に座っている人も呆れた顔をしているから、あたしは恥ずかしくなって楓に隠れるように店内へ進んだ。
三月も終わりに近づいている。
いつもの河川敷を自転車に乗って颯爽と走り抜けていくあたしに、いきなりストップをかける声が響く。
「ちょっと、まてぇ !!」
自転車ごとびっくりして少し跳ね上がると、すぐさまブレーキをかけた。
見渡す限り、サラサラと穏やかに流れる川の音と鳥のさえずりしか聞こえてこない。声の主を必死に探していると、今度は呆れたような深い深いため息が 聞こえてきた。
「どこへ行こうとしている?」
呆れた声の方を振り返ると、 今一番会いたくない顔。顔から血の気が引くのが分かった。無理矢理に口角を上げて、片手を軽く上げると、一気にペダルを強く踏みしめた。
「ごめーん! もう無理! あたし、あんなに頑張ったんだよ? もう解放してよー」
ペダルを踏み込む足に力がこもる。なんとか逃げ切ることに成功した。
今まで、学力とはだいぶ程遠い高校の受験を、必死に頑張って頑張って、きっとギリギリラインだったに違いないが、見事にあたしは合格を果たした。
春からは高校生。
小さい頃から隣の家に住む、幼なじみの桐谷 楓は頭が良く、余裕で受験を迎えられることもあり、あたしは毎日勉強漬けの日々を強いられた。
もちろん、楓のいない高校生活はありえない。
今まで本当にお世話になりっぱなしで、頭が上がらない。
でも、今回は本当に鬼のようだった。
それも晴れて合格!
もう解放される。
そう思ったのもつかの間、入学後に勉強に付いていけないあたしを見越して、楓はまたしても毎日勉強をしろと教科書やら参考書やらをどっさり用意してきた。
もう無理。限界。
そう思って飛び出してきた、
麗かな春の日の午後。
こんなにいい天気なのに、あんな文字だらけの分厚い参考書読んでたらもったいなさ過ぎる!
自転車を走らせて着いたのは、最近オープンしたカフェ。ガラス窓越しに手を振る人影を見つけると、嬉しさのあまり駆け出し、ガラス越しに話しかけていた。
「奈々香さーんっ! 会いたかったよーっ!」
キャーキャーと興奮気味のあたしは、次の瞬間頭を軽くポンっと叩かれた。
「中に入ってから騒げ」
呆れた声は先ほどのトーンよりもずっと優しい。
「げっ! 楓!?」
明らかなあたしの表情に、今度は吹き出して笑われる。
「おまえはやっぱ可愛いなぁ。顔に出すぎだろ。俺も呼ばれたの。さっき一緒に行こうと思ったのに逃げやがって」
「そーだったの?! な~んだぁ、あたしまた鬼が来たのかと…いや、」
「とにかく入ろうぜ、あっちも呆れて待ってる」
ガラス越しに苦笑いをする奈々香さん含め、近くの席に座っている人も呆れた顔をしているから、あたしは恥ずかしくなって楓に隠れるように店内へ進んだ。


